浮気に発展する恋愛感情

スリルを求める人物は探偵が天職

キャリアが長く経験豊富な探偵ほど「自身1人で可能な調査には限界が存在する」ことを痛いほど理解しているものです。

探偵が複数存在する探偵事務所という規模だからこそ成立している調査は数多く存在しています。

尾行・張り込みを例にあげても1人で可能な調査範囲には限界が存在するものです。

如何にタフな人物が調査を長時間連続で実施しても組織的に計画をもって複数の人物が効率良く実施した調査と比較したならば結果が異なるものです。

昨今の探偵業界は自社お抱え調査員や従業員探偵を雇う余裕が無い個人の探偵事務所が本当に多く存在しています。

当然ですが過去の探偵業界に存在したスペシャリストと呼ばれるような「素晴らしい調査力を持った探偵はごく少数」になったと言えるのです。

このようなスペシャリストは多くの経費を使用した規模の大きな調査も数多く経験している数少ない人材と言えます。

反面、現代のように多くの経費を削減した時代には育つことが無い状況とも考えられるのです。

対して現代に育っている探偵たちは「かわいそうな時代に探偵になった」としか言いようがないのです。

個人情報の厳守や探偵業法に沿った探偵業務しか知らず、窮屈な囲いの中での業務のみしか経験していない。

当然、規模の大きな調査を実施することで経験するメンタルなどは持ち合わせていないでしょう。

昔を知る探偵ならばこの言葉の意味を瞬時に理解し共感されることと思う。

現代では考えられない案件を手掛け、世間を騒がせた事件の裏を調べることこそ探偵として仕事をする意義とも言えるかもしれません。

まあ、その分ある意味では個人的に抱える自己責任という大きな荷物を背負い込むというヤバさ加減も際限なく上昇してしまうのですが。

このような状況や他の業種では得られないスリルを求めたスリルジャンキーならば「探偵は天職と言える」だろう。

毎日、毎日、浮気調査や素行調査では本来の探偵としての感覚がなまって仕方がないと思えるのです。

探偵の仕事を長く継続していると「毛穴が全て開くほどの恐怖」を何度となく経験する。

勘違いして欲しくないのはこの恐怖とは命に関わる危険という恐怖ではなく、探偵の本質に関わる恐怖なのです。

これは嘘偽りなく探偵をしていると誰でも経験することなので「探偵の醍醐味」とも言い換えることが出来るのです。

それは尾行中ばかりでなく、聞き込みや張り込みの最中にも起こることなのです。

誰でも経験未知数の状況に陥った場合には「冷や汗だくだく」な状態になってしまい「感情はいっぱいいっぱい」になってしまうものです。

書く言う私も探偵としてはまだ新人であった頃、尾行が困難になり、私の人生では関わることがない程の美貌の持ち主である調査対象者につるし上げられた経験があった。

新人探偵の失敗談としてお聞き下さい。

その美女は終始ウソ泣きで探偵を陥れた。

探偵はパトカーに乗せられて警察署で取り調べを受け、こってり絞りあげられ「今後、このようなことが無いように」と警察官にきつく釘をさされ警察から解放される。

最寄り駅に向かうと「背後から私の手を引っ張る調査対象の美女が」さっき泣いたカラスがもう笑った状態でニヤニヤしている。

心の中で「お前は峰不二子か!」とツッコミを入れて喫茶店に連れ込まれる私。

こうなったときには探偵は弱い存在となってしまいます。

多分、警察官から自分が探偵であると聞いたのでしょう。

だからと言って簡単に「依頼人と調査目的」は守秘義務があるため「探偵として一言も口にしない」と峰不二子に告げてアイスコーヒーを飲む。

笑みを浮かべてナポリタンを頬張る峰不二子。

手ごわい存在であることは間違いないと再確認し、質問を受け流す私。

ナポリタンを完食し口の周りがオレンジ色になった峰不二子は化粧直しに向かう。

このチャンスに逃げ出すことも可能と考えたが子供じみた判断なのでやめにしてアイスコーヒーを飲み干す。

アイスコーヒーをごちそうしてくれた彼女が別れ際に一言「探偵クビになったらごめんね」と。

大きなお世話だと心でつぶやき店を出てタクシーを拾う彼女の後姿を見送る。

長い探偵としての経験のなかで調査対象と言葉を交わす機会は極めて少ないと言える。

彼女の尾行は初日からバレていた様子であり、しかも依頼人が既に引っかき回し、警戒されていた状況であったのである。

なんか罠にはまった状況であることは理解できた。

探偵が逃げ場を失い調査対象者に追い詰められる状況は、反面、「探偵の醍醐味」の一部分を垣間見たような恐怖経験であった。